精神疾患が5大疾病に含まれた理由
[ 2015-09-07 16:01:04 ]
厚生労働省が、それまでの四大疾病に「精神疾患」を加え、正式に「五大疾病」としたのは2013年のことです。この五大疾病は「患者数が多く、死亡率が高いなど緊急性が高いもの」などの基準で決められるので、精神疾患の患者数と死亡者数がいかに多いかが伺えます。
少し古いデータですが、この五大疾病の件でよく出てくるのが、労災認定が過去最多だったという2008年の患者数データです。がん(悪性新生物)が152万人、脳血管疾患が134万人、虚血性心疾患が81万人、糖尿病が237万人、精神疾患は323万人となっています。
一方の死亡数は、悪性新生物が34万人、心疾患が18万人、脳血管疾患が12万人、糖尿病が1.4万人。うつ病は身体機能不全などの直接的な死因とはならないものの、自殺者数が3.1万人であり、その約9割は精神疾患を罹患していた可能性が高いというのが、五大疾病に精神疾患を含めた理由です。
現在は、軽度のうつ病患者に強い向精神薬などを処方し、逆に病状を悪化させてしまうといったことも起こっていると予想されます。医学界で早急に求められているのは、うつ病を診断するための「生物学的指標」です。
正確な精神疾患の判定と診断が可能になれば、より精度の高い治療を施すことが可能になる……今はまだ、そのような段階なのです。